2012年4月27日金曜日

MrKのぼやき: 健康・病気


7月31日の『コード・ブルー/ドクターヘリ緊急救命』より…

黒田(柳葉) 「まだ、やってたかぁ。

         あとは小原さんがやってくれるからお前、もういいぞ。」

藤川(浅利) (無視して患者に)「どんなもの食べました?」

黒田      「聞こえたか~?」

藤川      「いや、やります。い、いいんです。

         …俺には…ここしかないんだ。」

黒田      「勝手にしろ~~。」  (視聴者、失笑)

随所に出てくる黒田(柳葉)の藤川(浅利)いじめ。笑うしかない。

…それはさておき、別のシーン。

患者のMRIを見ながら、

脳外科医西条 「左前頭葉の脳腫瘍で右前頭葉に広がっている。」

白石(新垣) 「右側に傾いていたのは

        運動麻痺を起こしていたせいですね。」

西条     「脳ヘルニアも起こしている。

        この場合どういう治療が考えられる。」

白石     「開頭手術により脳腫瘍をとるか、

        脳圧降下薬を使うかだと思います。

        でもどちらにしろ予後は…」

藍沢(山ピー) 「もって2、3ヶ月。

        87才という年齢を考えるとこのまま薬で症状をとって

        楽に過ごしてもらった方がいいですね。」

西条     「その通りだ。オペをしたらかえって意識を

        なくしてしまうことになるだろう。

        ただ生きてるだけになる。」

脳腫瘍の種類は出てこなかったが、恐らく

グリオーマ glioma の中で最も悪性の

グリオブラストーマ glioblastoma であろう。

確かに、長期の生存は望めない脳腫瘍であり、

87才であれば手術はしないのが普通だ。

しかし、ドラマでは家族の強い希望で手術と

いうことになる(実はおじいさんの年金のためだったのだが…)。

脳腫瘍、特にグリオーマの場合、

脳そのものから腫瘍が発生し、

正常脳との境界が不明瞭なため、

手術で腫瘍を取り除こうとすると

意識障害、麻痺、言語障害などの

症状が残ったり、増悪したりする可能性がある。

そのため患者が高齢(果たして何才から?)の場合、

生きていることの尊厳をどう考えるかで、

治療への姿勢が大きく変わってくることになる。

John F Kennedy 元大統領の末弟であり、

米上院議員である Edward M Kennedy 氏も


疼痛管理マンシー、インディアナ

5月に脳腫瘍(グリオブラストーマ)に

侵されていることが判明、あえて手術を受け、

今のところ治療は成功しているように見える。

この先どうなるかは不明だが…

彼の治療の経緯にまつわる記事があったので紹介する。

7月29日付 New York Times 紙

Edward M Kennedy 上院議員(76才)が

痙攣(けいれん)にみまわれた3日後の5月20日に

自身が脳腫瘍であることを公表したのだが、

医師団は手術の可能性について呈示しなかった。

ボストンの Massachusetts General Hospital からの

新たな発表からは、腫瘍の悪性度を考慮して、放射線治療と

化学療法が主たる選択肢である印象を受けた。

しかし、2週間後、Kennedy 氏は

ノースカロライナ州 Durham に飛んだ。

Duke University で6月2日、脳外科医は3時間半に及ぶ

手術を行い、手術は成功したと公表した。

しかし彼らは判断基準を明示しなかった。

Kennedy 氏の治療の方針がなぜ変わったのかについては

正確にはわかっていない。

それについては Kennedy 氏も主治医も記者に語っていない。

わかっていることは、左頭頂葉に悪性の脳腫瘍があることが

判明してから数日後、

検討のために米国内の専門医グループを招聘したことだ。

5月30日に行われた会合は少なくとも2つの意味で異常であった。

一つは、権力のある患者なら―今回の場合、有名な政治家一族の

子孫であり、上院医療委員会の議長―、最新の治療と研究成果を

知るために高名な専門医を召喚できるということ。

二つめは、少なくとも国内6ヶ所の学術施設から

大勢の専門家を迅速に招集する効率の良さだ。

実は Kennedy 氏にとっては、この情景は見慣れたものだった。

それは以前、彼の二人の子供ががんになった時

彼らの治療を計画するために招集した会議に似ていたのだ。

現在46才になる息子の Edward Jr は骨腫瘍で

1973 年に右足の一部を切断した。

Kennedy 氏は専門医グループを彼の家に招き

子供の追加治療を議論させた。結果、彼には放射線治療と

2年間の試験的化学療法が行われた。

娘の Kara Kennedy Allen は 2003 年に肺がんになった。

手術不能と見なした外科医もいたが、

積極的な外科医によって手術が行われた。

Allen 女史は5年たった今も健在である。

さて Kennedy 氏は6週間の放射線治療を終了し

現在1年間続く見通しの化学療法を行っており

同じような好結果を期待しているところだ。


独自の減量計画をパーソナライズ

しかし彼の脳腫瘍はグリオブラストーマであると報告された。

この腫瘍の患者は発見されてから平均一年しか生存しない。

会議では専門医たちは手術、放射線治療、

および化学療法について話し合った、

とヒューストンの Baylor College of Medicine および

M.D. Anderson Cancer Center の脳神経外科科長である

Raymond Sawaya 医師は言った。

Kennedy 氏に対する手術の有益性についての意見は二分した。

強く推す脳外科医もいたが、Sawaya 医師によれば

彼を含めて二人が反対した。

その主たる理由は、腫瘍が境界明瞭な塊ではなく、

広範囲に広がっており、その大部分を取り除くことが

できそうになかったからだ。

成功の可能性は摘出される腫瘍の量に左右されるのだが

肉眼で認められる腫瘍が厳密にどれくらい摘出されれば

最良と言えるのかについては専門家の間で意見が

一致していないのが現状だ。

手術が正当化されようとされまいと、

Kennedy 氏が Duke で手術を受けたことは

Harvard の教育機関である

Massachusetts General Hospital の顔を

潰したこととなった。

治療施設の変更は、その会議が積極的な外科治療の方針を

打ち出したことを示唆する。

(中略)

7月9日、Kennedy 氏は極秘にワシントンに飛び、上院に

予期せぬ劇的な登場を見せ、いつもは平穏な議場に

興奮の拍手喝采を巻き起こし、多くの同僚の涙を誘った。

彼はしっかりしているように見えた。

しかし彼の一票により、民主党に特別医療問題で決定的勝利を

もたらした時の彼の顔は、大量のステロイド治療の影響で

腫れていた。

(中略)

グリオブラストーマの手術成績はこの数十年で

顕著な向上が見られていないと医師たちは言う。

そのため彼らは待機的方策を推奨する。

すなわち治療の経過中、必要になってきた時の

姑息的手段として手術を温存しておくのである。

放射線と化学療法が効率よく奏効すれば

腫瘍の減量が可能であるという概念は

理論上大いに意味のあることに思えるが、

必ずしも良い結果には結びついていないという。

もし安全に行うことが可能なら

より積極的な外科的アプローチが望まれる。

なぜなら外科的切除に放射線や化学療法を

色々組み合わせた場合が、長期の生存に最善の

可能性をもたらすからである、と専門医達は主張する。

たとえ手術が何年も生存期間を延長できなかったとしても

残された時間、より高い生活の質を提供してくれるだろう、と言う。


分離不安と犬

また専門家たちは、機能的脳画像やマッピング画像など

新しい技術はグリオブラストーマに対する脳手術の安全性や

成績を改善させていると主張する。

脳外科医は、脳の特定の領域で制御されている機能を

マッピングするため、脳の微細な領域を調べてゆく。

それらの領域は個人個人で解剖学的局在が異なることから

機能的マッピングは、外科医が重要な領域を切り込んだり、

運動や認知能をコントロールする領域を損傷したりするのを

回避する手助けとなる。

脳の表面を電気刺激することで、

言語機能が途絶する領域を

さぐり、言語領域のマッピングを行う

(New York Times より)

グリオブラストーマでは、3年あるいはそれ以上の生存は

稀と考えられており、

そういった長期生存例の大部分は積極的脳手術により

腫瘍の摘出を受けている例である、と専門医は言う。

現在、グリオブラストーマそれぞれのケースにおいて

どう治療すべきかが不確定であるという現実は、

医師たちが脳腫瘍について知りえていないことが

数多く残されているということを示唆している。

その知識の隙間が、患者と医師の決断過程の重要な部分に

哲学的判断が入り込む余地を与えているのだ。

多くの患者は進んで積極的な脳手術の危険に挑もうとするが

それは可能な限り多く肉眼的腫瘍を摘出しなければ

長期生存の可能性が低くなることを知っているからである。

しかし、多くの患者に対して手術ができる一方で、

手術をすべきでない患者がいることを外科医はわかっている。

腫瘍が脳の重要な場所に近いため危険性が高すぎると

医師が告知してもなお手術を強く要求する患者もいる。

「患者が助かりたいと思うのは人間としての本性だ。

もしその願いが叶うものなら、喜んで言葉を失い、

あるいは完全な麻痺にでもなろうとする。」

と前出の専門医 Sawaya 医師は言う。

しかし、多くの脳外科医はそんな危険を冒すことを欲しない。

「なぜなら術後に麻痺が出た患者は悲惨であり、

また、周りの誰もが惨めになるからだ。」と彼は言う。

University of California, San Francisco の

脳外科部長 Mitchel S Berger 医師も

Kennedy 氏の会議と治療に参加するためにボストンに飛んでいた。

彼はそこで何人かの経験症例について語ったのだが、


その中には Kennedy 氏より4つ年上の 80 才の最近の

症例が含まれていた。

彼女もグリオブラストーマで、Berger 医師は

約2ヶ月の余命であろうと判断した。

しかし、もし、肉眼的に脳腫瘍のすべてを摘出できたとしたら

化学療法と放射線療法を組み合わせて手術を行うと

3~15ヶ月間の家族との良質な生活が得られる可能性があると

Berger 医師は言った。

彼女の人生の80分の1という時間は決して長い時間とは

言えないかもしれないが、多くのことを話したり行動したりするには

十分な時間である。

そんな風に残された時間を考える時、

それは大きな重要な時間となる。

二人の人間が医師から危険性-有益性の説明を聞いたなら、

それぞれ異なる結論を出してしまうのが現実だ。

一人は危険を冒してまで手術する価値はないと言うだろうし、

もう一人はさようならを言える一つの方法だ、と言うだろう。

(以上記事要約)

医学の著しい進歩にもかかわらず、

依然不治の病であり続けるグリオブラストーマ。

手術の技術や補助療法が向上しても長期生存は期待しがたく、

このことが、治療選択の決定をますます難しくしている。

この悲惨な病気に対する様々な高度な研究が、

患者に残されたわずかな時間の質を向上してあげることにしか

つながっていないのが哀しい。

(それも大切なことではあるのだが)



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